心不全とは
急性と慢性がありますが、急性心不全は急激に心機能が低下し、生命の危機に陥る可能性があるため、入院施設のある病院で治療することが多い疾患です。クリニックで対応するのは初期の心不全や急性期が過ぎてある程度安定した慢性心不全が中心となります。心不全とは、心臓の機能不全で、息切れやむくみが起こります。心不全には病期があり、①ステージA: 高血圧や糖尿病、冠動脈疾患などはあるが心筋や心膜、弁機能といった心臓の構造的異常がなく、症状も無い状態、②ステージB:左室左や心拡大、心機能低下、弁膜症、心筋梗塞の既往など心臓の構造的異常が出現しているが、症状のない状態、③ステージC:心臓の構造的異常があり、症状の出現もある状態、④ステージD: 心臓の構造的異常があり、十分な薬物的治療を行っても安静時の症状がある状態、に分類されます。心不全は徐々に悪化し、寿命を縮める怖い病気です。左室機能の低下しているステージCの患者さんは5年間で4人に1人が死亡すると言うデータもあるようです。心不全の原因として、心筋梗塞や心筋症(原因はわからないことが多い)による心臓の収縮力の悪化、弁膜症、不整脈などがあり、原因自体に治療できる可能性があれば、その治療(例えば冠動脈の狭窄に対してはカテーテル治療や冠動脈バイパス術、弁膜症に対しては人工弁置換や形成術、不整脈については薬物治療やカテーテルアブレーションなど)を行いますが、慢性心不全の多くの方が、利尿剤、血管拡張薬、βブロッカーなどを微調整しながら、慢性疾患として生涯病気と付き合っていくことになります。いずれにしても、心不全が進行すると生命予後が不良になるため、ステージAの時期から持病をうまくコントロールして健康寿命を延ばしていきましょう。