高血圧とは
年齢が高くなってくると、高血圧は身近な病気になってきますが(75歳以上の80%が高血圧に罹患していると言われています)、高血圧の8~9割が原因をひとつに特定することのできない本態性高血圧です。放置すると、脳血管イベント、慢性心不全、大動脈瘤や急性大動脈解離などの原因となります。また、腎臓にも負担がかかりますので、腎機能悪化のひとつの要因ともなります。一般的には140/90mmHg以下を目指しますが、2016年の米国心臓病学会で、収縮期血圧が120mmHg以下にすると、心血管イベントや全死亡率が有意に減少することが示されました。このため、2019年より目標血圧を130/80mmHg未満(75歳以上の方は140/90mmHg未満)にすることが推奨されるようになりました。クリニックで血圧を測ると普段より高くなってしまう方(白衣高血圧)もいらっしゃいますので、自宅でくつろいだ状態で測定した血圧で管理するのも良いと考えます。なお、高齢の方は、血圧コントロールを厳格にすると、逆に体調不良になってしまう方もいらっしゃいますので、その人に合わせた血圧コントロールが必要です。生活習慣の是正としては、①塩分を控えめにして(厳密には1日6g未満)、②飽和脂肪酸およびコレステロールの摂取を控える、③適性体重の維持(BMI 25未満)、④適度な有酸素運動(早歩き、軽いジョギング、軽い水泳や水中ウオーキングなどを1回30分以上/週180分以上が目標)を行う、⑤飲酒はエタノールとして男性20~30ml/日以下、女性10~20ml/日以下とする、および⑥禁煙する、が基本です。しかし、効果が不十分な場合は降圧剤を使用しましょう。作用機序の違う複数の種類の薬剤があるため、患者様に合わせた選択が重要です。